EIGA「聖衣」「オクラホマ」「八十日間世界一周」
総天然色カラー・シネマスコープ映画といった売り文句で最初に日本に来たカラー・シネスコ映画は「聖衣」というキリストの処刑を描いた映画だった。小学生の頃に映画好きだった父親に連れられて、新宿のオデオン座で見た。その頃は映画の前にジャズの演奏があって、雪村いずみが確か唄っていた。司会者がしきりに「いずみちゃん、いずみちゃん」といっていたのを覚えている。未だ若い新人のリチャード・バートンが処刑するローマの軍人で、キリストが磔にされている十字架の柱に手を掛けているとその手の上に血が滴ってきて、洗っても洗っても落ちない赤い血痕の印象が強く残る。そして、その軍人の赤いマントが戦車に乗ると風に翻って恰好よかった印象が強く残っている。
次に見たのがシネラマのミュージカル映画「オクラホマ」。ゴードン・マクレーン、シャリー・ジョーンズという歌のうまいスターが出ていた。主テーマの「オクラホマ」を初め、名曲ぞろいである。「オー・ビューティフル・モーニング」「飾りをつけた四輪馬車」など今でも口ずさむことが出来る程の親しみやすいメロディで、蓋し名楽曲といえる。のちに「ウエストサイド・ストーリー」がミュージカル界を席巻するまで、ブロードウエイのトップを走っていたという古典的な作品である。
新宿コマ劇場は去年の暮で幕を閉じたが、当時はシネラマの上映館だった。「オクラホマ」の次は世界的な大ヒットシネラマ「八十日間世界一周」だ。カンティンフラスとデヴィッド・ニーブンのコンビで八十日で世界一周するという大博打を打つイギリスの貴族の話だが、気球ゴンドラに乗って上空から見る世界中の美しい空中撮影が恐らく初めて一般大衆に公開されたのではないだろうか。そして、あの有名なテーマ音楽「アラウン・ザ・ワールド」は未だに航空機内や海外旅行の宣伝番組のBGMとして使われている。ムード音楽界のパイオニア、ビクター・ヤングの作曲。
当時の大型映画は、シネマスコープ、シネラマとトッドAO方式があって、「オクラホマ」「八十日間世界一周」は70mmトッドAO方式であった。
jimma090512
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